工夫する
大相撲夏場所が終わりまして、わたしも通常モードに戻ります。
とはいえ、少し「親方ちゃんねる」のお話を。
すみません、複数の日にまたがった話題なので、○日目の動画を見てくださいとは書けない上に
書き起こしは大体の内容です。そんな状態でも知っていただきたくて。
第71代横綱鶴竜の鶴竜親方への質問として
「息子さんがお友達からひどいことを言われて学校に行くのが嫌だと言っているので、親方から声をかけてあげてほしい」
という質問?リクエスト?がありました。
なんとなく、がんばれよ、とか、気にするな、とか、学校は行きなさい、とか言いたくなるところだと思いますが
(現に、チャットスペースにはそういうコメントもあって、でもこれが普通の声の掛け方だと思います)
なんと鶴竜親方、このようにお答えになったのです。
「一言でがんばれとか言っていい問題ではないと思う。
どうにか工夫して、うまくやるしかないね」と。
もうコーチ(わたし)、しびれました。
そうです。がんばるのではない、気にしないのでもない、耐えるのでもない。工夫「する」んです。
嫌なことにも向き合いなさい、とか、苦手を克服しなさい、とか
とかく教育の場では言われがちかもしれません。会社の先輩や上司もこう言うでしょう。
でも、なんのためにやるのかと考えると、成果が出ればいいのですよね?
成果とは、どうなりたいか、です。
その方法は、苦労せずにできれば、それでいい。工夫して上手くできたら、それでいい。
やらずに済むのなら、(それこそ工夫して)やらないようにすればいい。
考えた結果、向き合うとか喧嘩するとか逃げるとか無視するとか耐えるとか
何を選ぶかは本人次第です。
これは、非常にコーチングの根っこの考え方と同じです。
私たちが「では、どうなればいいですか?」とお聞きするのと同じ。
「こうなればいいな」に向かって、方法を考えて工夫するのはコーチングそのものです。
こんな言葉がさらっと出てくる鶴竜親方は、きっといいお弟子さんを育てられることでしょう。
そして本当に素晴らしいのが、千秋楽のチャットで親御さんから報告されたところによると
この男の子、嫌なことを言ってくる子に「僕は仲良くしたいから、嫌なことを言わないで」と伝えて仲直りしたそうです。
素晴らしくないですか?
どうなりたい、と、そのためにこうしてほしい、ということが見事に整理されていて
それを本人に伝えられたのです。
尊敬します。
彼にとっての「工夫」は、わかりやすく整理して相手に直接伝える、という方法だったのですね。
きっと、伝えることは勇気がいること。その勇気を鶴竜親方や親御さんからもらったのだと思います。
いやあ、千秋楽は相撲以外でもしびれました。