ちどかま「あることないことゲーム」のコーチ解説

私は「お笑い好きのなんでもコーチングに変換するコーチ」なので、お笑い（特に漫才）の人を笑わせる仕組みが、コーチング（心理学とか脳科学がベース的な）の知識で説明できることが多いなあとおもしろく思っています（ここでもしばしば書いています。例えばこんな）。先週土曜日の「千鳥かまいたちアワー」（大好き）で、こんな話がありました。

TVerで2月4日まで見られます。

千鳥の「開いてる店は開いてるけど、閉まってる店は閉まってる」のネタ（夜10時のラーメン屋は、開いている店は開いているけど、閉まっている店は閉まってる、と大悟さんが言い続けるネタ。おもしろいよ）のようなことを言い続けるゲームを思いつきました、という投稿から、「あることないことゲーム」としてやってみましょう、というもの。以前ノブさんが「他の例でも、言うとめっちゃ気持ちいい」とおっしゃっていて、大悟さんは「本当に当たり前のように言う、気づいていないアホのように言う」のがコツだ、と言われました。

本家の大悟さんはもちろん、共演のかまいたちのおふたりもさすがにおもしろい。でも、ノブさんが失敗するのです。それがまたおもしろいというものでした。

これをコーチングのテクニックで解説をすると、「開いてる店は開いてるけど、閉まってる店は閉まってる」のように絶対に「そうですね」としか言えないもの、または「デートは週末がいい？それとも平日がいい？」のように絶対に回答しないといけない（回答できてしまう）問いのことをダブルバインドと言います。これは、「なんとなく」いいな、とか、おもしろいな、と思うようにするテクニックで、日本語話者にはとてもなじみのある、使いやすいテクニックです。（ご興味ある方は、ミルトン言語、で調べてみてください）。具体的にしない、あいまいにする、核心をつかない、そのようなスピーチは、たとえば政治家の演説や形式的な行事でのスピーチに向いています。現に、アメリカ大統領選のスピーチは、ミルトン言語の使い手が監修していることが多いようです（トランプさんは違う）。

で、これをノブさんが失敗するというのも理にかなっていて、ツッコミ脳でこのゲームはむずかしいのです。ツッコミは曖昧を指摘する働きをすることが多いので、ボケの人が得意なのは納得です。濱家さんはツッコミですけれど、ボケることも好きなタイプの芸人さんだと思いますので、これは得意なのでしょうね。