憧れは他人事を生み出す？憧れて努力し、憧れを捨てて勝利する。同時代に切磋琢磨する大切さ。

WBC 、JAPANが優勝しましたねえ！準決勝と決勝は、明らかにそれまでの試合とは違う辛抱が必要だったと思いました。やっぱりMLBの選手が多い国は強いんですねえ。

このコラムでも注目しているJAPANの円陣、決勝戦では大谷翔平選手がスピーチをしたそうです。

2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™
決勝・アメリカ戦の円陣声出しは #大谷翔平選手！

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— 野球日本代表侍ジャパン公式 (@samuraijapan_pr) March 21, 2023

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書き起こしましょう

僕からは1個だけ。憧れるのをやめましょう。
ファーストにゴールドシュミットがいたりとか、センター見たらマイク・トラウトがいるし、
外野にムーキー・ベッツがいたりとか。
まあ、野球やっていれば誰しもが聞いたことがあるような選手たちがやっぱりいると思うんですけど。
今日1日だけは、やっぱ憧れてしまったらね、超えられないんでね。
僕らは今日超えるために、やっぱトップになるために来たので。
今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。さあ行こう！

かっこいいですね！前回も触れた「さあ行こう！＝最高！」が使われています。これ本当にいい言葉なのでみんな使えばいいと思います。ネットでも話題になっていた「憧れ」について、ちょっと考えましょうか。

私は自分の本で「憧れの人を見つけるといい」ということを書きました。これは前に進むためには「こうなりたい」というイメージが明確になっていた方がいいですよ、という意味のものです。きっとJAPANの選手も、大谷選手のスピーチに出てくるような選手に憧れ、1次ラウンドで日本人の心を鷲掴みにしたチェコチームの皆さんも大谷選手に憧れて、野球選手になったと思うんです。ビジネスパーソンでもありますよね？こんな経営者になりたい、こんなコーチになりたい（私はあまりいないかもですが）などなど。そんな同じ時代を戦う相手が「憧れの人」の場合、実際に対戦することになった時、確かに大谷選手がいうように「憧れ」は捨てた方がいいかもしれません。

「憧れ」という言葉で括っている中に、どんな成分が入っているかは人それぞれですが、往々にして日本人は「尊敬」「敬う」はいいとしても、「自分より絶対的に上」「逆らっちゃダメ」「絶対的ヒーロー」というような思いを持っていると思います。それは戦うために、勝つためには必要ありません。また、「憧れ」のまま戦いに挑むことは「他人事」になってしまいがちです。試合を自分事として捉えるよりも、他人（憧れの人）視点で臨んでしまいがち。これは勝利にとってはとても危険なことです。敗戦後のコメントで「浮き足立ってしまった」と言われる時は、結構この「他人事」視点になっている時が多いように思います。

話は膨らんでいきますが、こんなことを考えておられるかは知らないけど、「憧れをを捨てましょう」と言った大谷選手はやっぱりすごいなあ。

私が書いた「憧れの人」。読者の大多数は、野球選手のように王道が決まっている人ばかりではありませんので、「ドンピシャのロールモデルは見つけにくい」という前提で書いています。部分的に、この部分がステキ、こうなりたい、と思うといいですよ、というものです。実はこの方が「憧れを捨てる」という心の摩擦は少なくなります。また、過去の偉人（大相撲の白鵬とか）で対峙することがない、という場合も摩擦はありませんが、でもその代わりにちょっと孤独感を感じるかもしれません。誤解を恐れずに書くと、幻を敬っているようなものです。やはり同時代で切磋琢磨する体験は何事にも変えがたし、です。

明日にでも「WBCはなぜ毎回たのしそうなのか」を書こうと思います。日常生活にも生かせるように。

おめでとうございます！