ネタ見せ不要論より

私はお笑い好きです。キングオブコントは終わりましたが、年末にかけてM-1がありますね。たのしみです。全員が評論家だ、なんて言われる時代ですけれど、賞レースの審査員コメントと芸人さんとの受け答えってコーチング的にも非常に興味深いものがあります。伝説の2019年の決勝について、こんなこと書いてました。

とりあえず聞いてみよう

今読んでも、その通りだと思います。

今年のM-1、3回戦に残っているパンプキンポテトフライとさらば青春の光東ブクロさんのラジオ『ブクロフライ!!! by stand.fm』#6で「ネタ見せ不要論」という話になりました。ネタ見せとは、お笑い芸人さんが劇場に出るためのオーディションのようなもの。イベントや事務所内で行われるようです。この中で特に、事務所内でのネタ見せは育てる要素が強いのだから、やる気を削ぐようなコメントはいらない。コメントする方（構成作家さんや事務所社員さん？）も初めは育てる意識があるだろうけれど、だんだんそれが薄れてきて「欠点を指摘する」方にシフトしていくのではないか、という話でした。

人は放っておくと欠けた部分に注目してしまいます（本能的な危機管理）。指摘する方は良かれと思って欠点を挙げていく、とも限らず、中には優越感に浸るためということもあります。それを差し引いても、ネタの悪いところだけに注目させるような指摘は、本人の自信ややる気を無くしていきます。それよりも、いいところ、おもしろいところ、特徴的なところに目を向けさせてあげるような指摘が、その人本人を育てることになります。欠点部分については、ほんのちょっと。ビッグマックで言うと真ん中のパンくらいの薄さで指摘する。さらに、どうすれば改善できるかを「自分は、こう思う」「試しにやってみてもいいかもよ」という言葉（Iメッセージと言います）を添えて伝えてあげましょう。それを受け入れてやるかどうかはその人次第です。育てるのではなく辞めさせたい場合は、この逆をやればいいのです。ただ、辞めさせたいという時も、芸人を諦めた方が幸せになるのではないかと思っているのは本人ではなく自分自身だ、ということをお忘れなく。昨年チャンピオンの錦鯉のおふたりは「自分たちが優勝したことで、他の高齢芸人の引き際をなくしてしまったのではないか」と心配しておられましたが、それもどう受け取るかは本人次第ですよね。

お笑いってたのしい。芸人さんってすばらしい。よい週末を！