銀橋に立ちたい！という感覚

　何かがトリガーになって感情が溢れ出る（例えば、デパートをみるとわくわくする、チャイムを聞くと足が重くなる、ビールを見ると喉が渇く、などなど）ということはありますが（これをアンカリングと言います。原理はパブロフの犬のアレです）、同じものを見ても、あの時と違う感情を抱くことも、あります。

　私は中学生の時に宝塚歌劇にハマりました。ちょうど大女優の天海祐希さんが2番手の位置に抜擢されて、トップスターに就任された頃までに当たります。その頃の大劇場公演は、どの組もほぼ全て見たんじゃないかなあ。また関西では土曜日にテレビで舞台中継（録画で編集ありですが）をしていたので、それをビデオに撮って何度も見ていました（その頃の歌はたいてい歌えると思います）。再演での月組のベルサイユのばらから今の大劇場ができて数作品は見たかな？くらいの時代感です。その後パタっと見なくなり、なんやかんやで30年（？！怖い！笑）を経て、コロナで動画などを見る時間が増え、もしかしたらその頃の映像があるかしら？と探してみると、あるんですよね。まあ懐かしい！とみていました。私は特にショーが好きで、フィナーレに向かう流れは国宝級だと思っています。

　宝塚の舞台は「銀橋」という通路が本舞台の前にあります（ここの「か」行で検索してみてください）。フィナーレでは、そこにスター（最上級生の組長さん、副組長さんも）が歌いながら順番に並びます。もちろん全員ではなく限られた、選ばれた人々です。観客の目はほとんど銀橋の上に注がれます。新人さんなどは舞台の大階段（これも独特のものなのでこちらで検索を）に並びますが、上級生になるほど、同期や下級生が銀橋に向かう姿を見送るんです。

　その場面を最近動画で見て、「これは、何がなんでも銀橋で歌う人になりたいと思うよなあ」としみじみ思いました。もちろん、中学生の時にそんなことを思ったことはありませんし、宝塚空白期間にこんなことを考えたことはありません。また、私は基本的にあまり競争意識はなくて、もちろん試験などには受かりたいし、いいお仕事をしたいし、褒められたらうれしいけれど、誰かと自分を比べるとか、誰かに比べられるような経験はあまりなく、また、多分それは苦手なことなんです。中学受験をしているので、先生方には「あのライバルの成績を抜け！」みたいにハッパをかけられましたが、あんまり響いていなかったように思います。

　でもこのように、宝塚の銀橋には立ちたいよなあ！（その前に入学しなきゃいけませんが、していたとして）と心の底から実感する気持ちを体験しました。なぜか？ということはきっとどうでもいいんですけど、この感覚を味わえたことはコーチとしてとてもいいことだと思っています。

　もしこれを中学生の時とかに感じることができていたとしたら、きっとコーチにはなっていなかったかもしれませんし、まかり間違ってコーチだとしても、もっとガンガンやる系になっていたのかな？なんて思うとおもしろいですね。きっと競争の世界に身を置く人たちには、このようなきっかけがあるのでしょう。その味わった感覚、ぜひ大切にしてくださいね。（コーチングで使いますよ！）

もしかしたら日曜日に宝塚を観劇できるかもしれなくてわくわくどきどきです！

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